色やフォントごとに商標(ロゴ)を登録する必要はありますか?
それに、ロゴであっても、「文字商標」として登録する方法と「ロゴタイプ」として登録する方法の2パターンあります。どちらの方法で登録をすべきなのか、また、色やフォントごとに登録する必要はあるのかどうか考えてみましょう。
「文字商標」と「ロゴタイプ」の違いとは?
一方、「ロゴタイプ」とは、文字を図案化し装飾したものです。商標登録出願の際には、ロゴの画像データを商標見本として出願します。モノクロで登録するかカラーで登録するかについては、使用頻度の高いほうで登録したほうがよいでしょう。しかし、同一と判断できれば、モノクロもカラーと同じ商標とされるので、白黒・カラーのいずれかで登録すれば問題ありません。たとえば、「Wi-Fi」がロゴタイプとして登録されています。
湯〜トピア事件
東京地裁は、標章の「湯〜トピア」の部分が「商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える」として、湯~トピアかんなみに損害賠償を命じました。しかし、その後湯~トピアかんなみが知財高裁に控訴したところ、知財高裁は原判決を取り消し、原告の請求を棄却したのです。この名称は「自他役務の識別能力が弱いと言うべき」で、かつ「被告標章は原告商標に類似しておらず、被告標章の使用は原告商標権の侵害には当たらない」と判断されました。
文字商標で登録しておけば広い範囲で独占権を行使できるものの、決して万能選手なわけではありません。利用の実態に即して文字商標とロゴタイプを使い分けるのがベストな方法と言えます。なお、レジストレーションマーク(〇Rのマーク)を使用されたいのであればロゴで権利化されるべきでしょう。標準文字商標で権利化し、その文字をデザイン化してレジストレーションマークを使用すると言った事例が見受けられるのですが、レジストレーションマークは登録商標を意味するため、登録商標と同一性の範囲内を逸脱している場合に使用するのは好ましくないからです。