第43類:飲食物や宿泊施設の提供(レストラン・ホテル)など|商標登録の商品区分
泊まりがけでの観光に欠かせないものが、ホテルや旅館などの宿泊施設です。観光地を中心に今なかなか予約が取りづらくなっていると聞きますが、これらの施設を提供する役務は、商標法の商標区分上、第43類に属します。
第43類に含まれるもの・含まれないもの
ただし、次のサービスはこちらの類に含まないので注意が必要です。
・常用のための不動産、例えば、家、アパート等の賃貸サービス(第36類)
・旅行代理店による旅行の手配(第39類)
・飲食物に関する保存加工サービス(第40類)
・ディスコの提供(第41類)
・全寮制学校における教育(第41類)
・保養所・療養所及び予後保養所における治療・介護・栄養の指導(第44類)
「ラーメンの神様」の名を使った商標登録が拒絶された事件
大勝軒は商標「山岸一雄」について、第30類「つけ麺用の中華麺,つけ麺用のスープ 他」を指定商品、第43類「つけ麺を主とする飲食物の提供」を指定役務として平成25年11月に商標登録出願しました。
ところが、特許庁はこの出願に対して拒絶査定を通知。大勝軒はこれを不服として不服審判請求や審決取消訴訟を起こしました。
審決取消訴訟の中で、大勝軒側は、故山岸一雄氏がつけ麺を考案した元祖であり、「山岸一雄」の標章が指定商品・役務の分野では、ほかの人物のことを想起させるものではなく、第三者に不快感を生じさせるものではないことを主張。
これに対し、特許庁側は全国に「山岸一雄」の名前を持つ人物がいるが彼らの承諾を得ていないこと、商標法第4条1号8項に規定されている人格権利益の保護については他人の名前を含む商標が具体的にその他人の権利を害するかどうかは要件とされていないことを主張しました。
知財高裁は、ある氏名がついた商標がその名を持つ人物の承諾なく登録されると人格的利益を害されると考えられており、大勝軒は商標登録出願にあたり全国にいる「山岸一雄」氏の承諾を得ずに出願していることなどに言及。特許庁側の主張を認め、大勝軒側の請求が棄却されることとなりました。
ただし、知財高裁は故山岸一雄氏の名前の周知性が認められれば、商標法第4条1号8項の適用は除外されるとも述べています。すなわち、全国的に周知されて誰もが知りうる状態になれば、「山岸一雄」の商標登録も認められるのかもしれません。