第10類:医療用品・機械器具(哺乳瓶・美容マッサージ器)など|商標登録の商品区分
他にも、パラリンピックには義足や義手、義眼をつけた選手がたくさん出場していました。選手たちを支えていたこれらの義足や義手、義眼は、商標区分上第10類に属します。
第10類は医療機器・器具が中心
第10類に属する医療機器・器具は、内科だけでなく、整形外科、外科、歯科、獣医科などで使用されるものも含んでいます。CTのように大掛かりなものから、注射器のような手のひらサイズのものまで、大きさや規模はさまざまです。
オムロンとタニタの体脂肪計をめぐる争い 〜デュアルスキャン事件〜
オムロンは、自社製品「デュアルスキャン/DualScan」について、第10類「体脂肪測定器,体組成計」を指定商品として商標登録出願し、2008年に設定登録されました。
その後、タニタが類似した商標「デュアルスキャン/Dual Scan」について、第9類「脂肪計付き体重計,体組成計付き体重計,体重計」を指定商品として商標登録出願し、2011年に設定登録されています。オムロンは、タニタの登録商標が無効だとして特許庁に無効審判を請求しました。
特許庁は、両者の商標登録された製品が「医療用」と「家庭用」で用途が異なること、需要者にも「医療従事者」と「一般の消費者」の違いがあることを主張。両者は類似すると言えないとしてオムロンの訴えを退ける審決を下しました。
オムロンはこれを不服とし、今度は知財高裁に審決取消訴訟を提起します。裁判長は、オムロンとタニタの両者が家庭用の体組成計や体重計部門で90%以上のシェアを誇っていることや、医療機器販売のカタログでも医療用・家庭用とも両者の製品が掲載されていることなどを指摘。
商標区分は違っていても、両者が同じ「デュアルスキャン」の商標を用いると消費者が製品の出所を識別するのが困難であるとして、裁判長は特許庁の審決を取り消しました。
オムロンとタニタは、その後体重計の意匠権についても争っています。オムロンがタニタの製品について差し止めと損害賠償を請求し、タニタ側に1億2900万円の損害賠償命令が下っていましたが、その後タニタが控訴して、知財高裁で和解が成立しました。両者ともヘルスケア部門で拮抗している企業のため、お互い譲れないものがあるのでしょう。