法人ではなく、個人で出願した商標でも登録できますか?|商標登録の基礎知識
はたして商標登録は、個人名義でも出願できるのでしょうか。
結論から言えば、個人名義でも商標登録の出願は可能です。
ブランド、ネーミング、ロゴマークなど商標で登録する「標章」といえば、大きな企業を使っているのをイメージしますが、民法で定める「権利能力」を有するものであれば、商標登録の出願を受け付けてもらえます。
この権利能力を持つものは、「自然人」「法人」を指します。
自然人とは、イコール個人です。個人名義で出願することは、まったく問題ありません。
また、法人に関しても、株式会社や合同会社など営利法人、社団法人や財団法人など非営利法人を問わず、もちろん大企業、中小企業などその規模に関しても問われません。
外国人でも、商標登録に出願できますか?
また、パリ条約に加盟している国の国民、そしてその国に居住する外国人であれば、日本国内に住んでいなくても、商品登録に出願可能です。
※パリ条約(工業所有権の保護に関するパリ条約)とは
特許、実用新案、意匠、そして商標など工業所有権の国際的保護を目的に、1883年にパリで締結された条約です。
日本がパリ条約に加盟したのは、1899年(明治32年)。現在では、世界100カ国以上の国が加盟しています。
商標登録を出願できないケースは?
権利能力を持たない団体とは、いわゆる町内会や同好会など、先にあげた「法人」に該当しない団体を指します。
しかし、その団体の代表者が、個人名義で出願することは可能です。
もう一つあげられるのは、自分以外の他人の名前や、会社の名前で出願したケースです。
ただし、これから法人を設立しようと考えている個人が、あらかじめ事業で使用するネーミングを商標登録出願して、あとから法人名に変更すること(法人に譲渡すること)もできます。
個人名義の商標登録出願で、気をつけたいポイントは?
良いネーミングを思いついたら、個人でも、そして使用していなくても商標登録可能です。
日本の商標権では、特許庁に最初に書類を提出した人が権利を取れる、「先願主義」を採用しています。
いざ使用するときになって、すでに商標登録されていた場合、せっかくのビジネスチャンスを失うことにもなりかねません。
商標登録の検討は、早めに行うよう心がけましょう。
商標登録出願が、登録要件を満たさないと審査で判断された場合、拒絶理由が通知されます。
個人が出願しているにもかかわらず、「株式会社」「合同会社」といった文字が含まれている標章に関しては、特許庁より不適切と判断され、拒絶理由通知が出されることもあります。
また、同じように、個人では運営がむずかしいと判断されるサービス(スーパーマーケットや百貨店など)を指定して出願した場合、拒絶理由通知の対象になることもあります。
しかし、出願者側の意図や出願内容を明らかにする手続補正書や意見書を提出して、拒絶の理由をクリアにすれば、登録は可能です。
拒絶通知理由にどのように反論するか、あるいはどのように対応するかで、商標登録できるか否かは大きくかわります。
個人名義の商標出願でお悩みの点は、知的財産権の手続きを代行する弁理士が在籍する特許事務所まで、お気軽にご相談ください。