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商標登録コラム

広告・容器・商品形状…立体商標として登録できる条件は?|商標登録の基礎知識

かつては、商標登録できるのは文字や記号、図形などの平面的な形状のみでしたが、1996年の商標法改正により立体的な形状も商標登録が可能になりました。その理由とは、三次元の形状のものであっても、その商品やサービス、広告物などを見ればある特定の企業のものだということがわかるケースが多いということがあげられます。

たとえば、カーネルサンダースの人形を見れば、その人形が置いてあるお店は「ケンタッキーフライドチキン」であるとわかりますし、ペコちゃんの人形を見れば、「不二家」を思い浮かべる人は多いでしょう。立体商標が登録できるようになったことで、自社特有の立体的造形物について、他社との差別化をより図れることが可能になったのです。

立体商標の登録条件とは?

立体商標は、以下の2つにあてはまらないことが条件となります。

1 ) その商標が「商品等の性質から通常備える立体的形状のみからなる」こと
商標登録の目的は、自社独自のマークやネーミングを独占的に使用することです。そのため、世の中にありふれた形状のものを商標として認めてしまうと、他社との関係の中で非常に不公平感が生まれてしまいます。

2 ) その商標が「商品等の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる」こと
機能を確保するために取り入れられる形状の商標登録を認めてしまうと、他社がその形状を使用できなくなるので、やはり不公平感が出てしまうということがあります。

立体商標登録が認められた例

実際に立体商標が認められた例のひとつとして、「ヤクルト」の容器があります。「ヤクルト」の容器は商標登録出願された平成20年当時、「その形状だけで識別力を獲得していたと認めるのは困難」として登録を拒絶されました。

しかし、その後消費者を対象にしたアンケートで、出願した容器の写真を「ヤクルト」と判断した人が98%以上にものぼったのです。また、類似商品を「ヤクルトのそっくりさん」という消費者が複数いたことから、「ヤクルト」の容器は「それ自体独立して自他商品識別力を獲得していると認めるのが相当」と認められました。

近年では、ホンダの二輪車「スーパーカブ」が立体商標として認められ話題となっています。この二輪車は特別変わった形状をしているわけではありませんが、1958年から現在まで販売されているという歴史があり、生産累計8700万台を突破していることから、消費者に十分認知されていると判断されたのです。

独自の立体的造形物を独占的に使用する方法として、意匠権や著作権の登録や不正競争防止法の形状模倣規制を利用するやり方もあります。しかしいずれも期限が来ると更新ができないため、ずっとその立体的造形物を独占して使用したければ、半永久的に更新のできる商標登録という形がベストとなるでしょう。

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