商標法改正から日本で登録された立体商標の数々|商標登録の基礎知識
また、立体商標を登録するには、製造者やサービスの提供者を表示すること(出所表示機能)、不登録事由に該当しないことが求められます。
立体商標についての特許庁の解釈とは
「ペコちゃん人形」や「カーネルサンダース」のように広告塔の役割を果たすものや、車のエンブレムなどについては、出願された多くの商標が立体商標として認められてきました。
しかし、商品や包装容器そのものの立体商標については、「指定商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」であるとして、ほとんど登録が認められてきませんでした。
この特許庁の姿勢に対し、「特許庁の解釈や運用が厳しすぎる」などという批判もあります。
この批判に対し、特許庁は「機能や美観とは関係のない特異な形状である立体商標」「機能、用途から予測し難いような特異な形状や特別の印象を与える装飾的形状である商標」については認めるとの基準を示しています。
日本で認められた立体商標とは
・「ミニマグライト」
1986年からの長きにわたり販売実績があること、多額の費用をかけて広告を掲載していること、デザイン性が各国で評価され需要者からの関心も高いことなどから、立体商標として認められたものです。
・「コカコーラ」
コーラ飲料として多数の販売実績があり、また莫大な費用をかけて販促物を作っておりそれらが消費者に親しまれていること、消費者アンケートを実施したところ多数の人が本商標の瓶の形状を見て「コカコーラ」と認識したことから、製品の出所識別能力があるとされ、商標登録されています。
・「Yチェア」
1950年の販売開始以来同じ形状を保っていること、長期にわたり雑誌などで紹介され宣伝広告が行われていること、販売実績が多数あることなどから、製造メーカーの名前が一般に浸透したとされ、立体商標としての効力が認められました。
そのほか、大手コンビニチェーンの「ファミリーマート」や出光興産株式会社のガソリンスタンド、ミサワホーム株式会社の本社も、建物自体が立体商標として登録されています。
単にちょっと珍しい形の商品や包装容器であるだけでは商標登録を拒絶されてしまいます。
しかし、一定の販売実績があり、広く一般に知られていれば識別能力があると認められ、立体商標として登録されやすくなるのですね。