商標の国際登録出願とは?海外でもブランド価値を守るマドリッド制度について
海外進出することを視野に入れている、あるいは実際に海外展開している企業などで、「自社の商品やサービスが外国で商標権の保護を受けることができたら…」と考えるところは多いのではないでしょうか。
そんなとき、マドリッド協定議定書の加盟国であれば、日本の特許庁に商標登録出願をするだけで、出願時に指定した相手国へも出願が可能になります。
マドリッド制度とは
マドリッド制度とは、1891年「標章の国際登録に関するマドリッド協定」が締結されたことによってできた制度です。
この制度は、外国で商標権の保護を受けたい場合に国際登録をしたい旨の申し出をすれば、一度の手続きで複数の国に対して一括で国際登録出願ができるものです。現在、98の国でこの制度が利用できます。
国際登録出願とは?
国際登録出願とは、マドリッド協定議定書(及びマドリッド協定)の加盟国で商標の保護を受けたいときに、自国の特許庁を通じて国際事務局に商標登録出願をすることです。国際事務局として、スイスのジュネーブにあるWIPO(世界知的所有権機関)が管理しています。
国際登録出願をすると、出願時に指定した国の官庁にその旨の通知が送られるので、当該国官庁は自国の法律に基づいて商標を保護できるかどうか審査をします。保護ができないと判断されたときは、出願人にその旨の通知が行くことになります。
今までは自力で外国の官庁に保護を求めるしかなかった
従来は、外国で商標出願するときは各国の所管官庁に対して直接商標の保護を求める必要がありました。そのために書類をその国の言葉に翻訳したり、その国独自の手続きを調べて行わなければなりませんでした。
しかし、日本がマドリッド協定議定書に加盟したことで、国際登録出願をするだけで、指定した国に対して保護を求めることができるようになりました。現在、日本からの外国出願のうち、約1/3がマドリッド協定議定書の締約国へのものになっています。また、各国ごとに料金を支払うための手続が不要なことも大きなメリットのひとつです。
日本の特許庁に出願するだけで、複数の国に出願ができて非常に便利な国際登録出願。万一拒絶査定となる場合も、拒絶査定が出るまでの期間があらかじめ決められているので、当該国で審査に通らなかった場合のことも事前に考えておくことができます。
海外で事業を行っている企業の方は、国際登録することを検討してみてもよいのではないでしょうか。