使われていない商標登録を取り消す方法は?|不使用取消審判
さっそく商標登録するために、同一商標、類似商標の事前調査を弁理士に依頼してみると、すでに同じような商品で、6年前に他社に商標登録されていたことが判明。
でも、その商標を使った商品は、商標登録されたあと、最初の1年間だけ製造・販売されて、それ以降は使われた形跡もなし。
商標権は、いちど商標登録すれば10年間はその権利が保持されます。
さらに、商標権者が10年ごとに更新すれば、半永久的に他人が同一、または類似の商品でその商標を使用したり、商標登録することを排除する権利を持つことになります。
果たして、他者が権利を持つ、使われていない商標を使いたいばあいは、どうしたらいいのでしょうか。
そしてまた、使われていない登録商標を、取り消すことは可能なのでしょうか。
使われていない商標権は、交渉により譲渡してもらうことも考えられます
商標権は、土地の権利と同じように、売買できる財産権です。
両者がビジネスとして納得できる対価で、譲渡することが認められています。
このばあい、登録商標の一部の指定商品(指定役務)に限って譲渡することも可能です。
手続きは、収入印紙を貼った商標権移転登録申請書と、譲渡や贈与の証明書類を提出すれば完了します。
しかし、使っていない商標でも、商標権者が権利を手放さない、あるいは不当に高額な金額で譲渡を持ちかけられることもよくあるケースです。
商標法の目的は、
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商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
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と定められています(商標法第1条)。
他者の商標使用を妨害するために、実際には使われていない商標まで、商標権者が半永久的に保持し続けるこうしたケースを放置すれば、この商標法の目的に反し、産業全体の健全な発展にとっても、大きくマイナスの影響を与えることになります。
そこで、登録されているのに、一定期間以上使われていない商標に関しては、その登録の取り消しを求めることができる『不使用取消審判』について、商標法で定められているのです。
使われていない商標登録を強制的に取り消す「不使用取消審判」とは
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継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用者のいずれもが各指定商品または指定役務について
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登録商標を使用していないときは、誰でもその商標登録を取り消す審判を請求できることが定められています(商標法第50条)。
最初にあげた例で言えば、商標登録されたのが6年前、実際に使用されていたのは最初の1年間ですから、これまで5年間、商標が使われていなかったという事実を証明できれば、その商標登録を取り消すことができるのです。
また、この登録取り消しの審判が請求されている、あるいは請求される可能性があると商標権者が知り、「商標を使っている」という証拠を作るためだけに慌てて商標を使用しはじめても、登録取り消し審判が請求されたから3ヶ月前以内であれば、取り消しを免れないとされています(商標法第50条3項)。
ただし、商標権者が商標を使用していなくても、ライセンスフィー(商標権使用料)を得るビジネス戦略等で、他者に商標の使用を許可しているばあい、許諾された第三者が3年以内に商標を使用していれば、この「不使用取消審判」の取り消し理由には該当しません。
不使用取消審判を請求する前には、該当する商標が使われていないという事実を、しっかり事前調査することが大切です。
権利化した商標を『どう活かすか』。知的財産権のプロがお手伝いします
不使用取消審判は、自社の登録商標に関しても無関係ではありません。
商標登録により商標権をとったあとでも、使用しないまま放置していれば、他者から不使用取消審判を起こされることは、充分にありえる事態です。
登録商標の不使用取消審判を請求する前の事前調査、そして審判を請求された時の対策は、知的財産権のプロ、弁理士までご相談下さい。
大切な財産・権利である「商標権」を最大限に活かしながら、業務上の信用を育て大きなビジネスへと繋げるライセンス戦略をお手伝いさせていただきます。