ネーミングやロゴを守る『商標権』ってどんな権利?|商標登録の基礎知識
商標権は、特許庁に商標を出願して、登録することで与えられます。
日本における商標を保護する制度は、特許の専売特許条例より1年早く、明治17年に商標条例が交付されて以来、100年以上の歴史を誇る法律です。
私たちの身の回りにある商品やお店には、必ず名前が付いています。
この商品の名前だけで、誰が作った商品なのか、または誰が提供しているサービス(役務)なのか、消費者が区別できる目印になるのが『商標』です。
商標権は、どんな役割を果たしているの?
私たちは、お気に入りのファッションブランドやお菓子を選ぶとき、その商品につけられた名前やロゴマークを見て選んでいます。
もし、他人がこの名前やマークを勝手に使った商品を売りだせば、そのブランドが築いてきた消費者に対する信頼まで、利用されてしまうことになります。
こうしたネーミングやロゴを真似た、いわゆる偽ブランドから、商標が侵害されることを防いでくれるのが、商標権です。
商標を登録すると、どんな権利が発生するの?
商標権は、土地や建物の所有権と同じく、れっきとした財産権です。
登録した商標を高額で売買することもできますし、商標を「貸す」かわりに対価をもらう、使用権(ライセンス)ビジネスも盛んです。
もし、登録した商標を、ライセンス契約せずに無断で使われた場合、商品の製造・販売の差し止め、損害賠償の請求ができます。
悪質なコピー商品に対しては、以前は5年以下の懲役、または500万円以下(法人の場合は1億5000万円以下)の罰金が科せられていました。
そして、平成18年の改正により、10年以下の懲役、または1000万円以下(法人の場合は3億円以下)の罰金、またはこれらを併せた、たいへん重い刑事罰が科せられるようになっています。(商標法78条、82条)
商標登録しておけば、ブランドの名前やロゴマークを使った商品、サービスに対して、とても強力な権利を取得できるのです。
そして、商標権の最も重要な機能の一つとして「安心して継続して使用することができる」というものがあります。
日本は登録主義を採用していますので、先に使用していても、他人が登録してしまえば使用を継続できなくなる可能性があります。
商標登録していれば、このようなリスクを排除できます。
よく、先使用権があるから大丈夫、などと勘違いされている方がおられますが、先使用権の条件として、出願時、又は登録時に何人かの商標として国内で広く知られている必要があり、使用していたという事実だけでは先使用権が認められないので、注意が必要です。
あなたのビジネスの権利を保護する商標登録をお手伝いします
商標権は、まったく同じ商標だけではなく、消費者にとって紛らわしい、類似商標の侵害からも守られます。
一度登録した商標は、登録日から10年間効力を発揮します。
そして、10年ごとに更新すれば半永久的に保持できる、同じ産業財産権である特許権と比べても、大変強い権利です。
また、商標権は、使用していた期間ではなく、特許庁に登録した「早い者勝ち」で与えられる権利です。
商標を登録していない場合、あなたの商品やお店の名前を勝手に使われても、その権利を主張することはできません。
さらに、商標を登録せずに、他者が先に商標登録してしまった場合は、最悪あなたのブランドや商品、お店の名前を使えなくなることもありえるのです。
商標には、いつ出願すべきという規定はありません。
ビジネスをはじめる前でも、商品や商号のネーミングを、あらかじめ登録しておくこともできます。
他者に使われたくないネーミングやロゴマークを、侵害から守る商標登録。
商標の登録についてご不明な点は、産業財産権に関する事務手続きを代理する国家資格を保有する、弁理士までご相談ください。