『商標権』と『特許権』の違いとは|知的財産権の基礎知識
更新日:2024/03/18
しかし、物理的に盗む必要がない、形のない財産(無体財産)は、そのアイディアを真似(まね)されてしまうだけでも、大きな損害を受けることになります。
こうした無体財産を侵害から守る制度が、「知的財産権」です。
商品やサービスの経済的な価値を大きく変える形にならないアイディアや、ブランドの信用を保護する「商標権」「特許権」「意匠権」「実用新案権」は、知的財産権の中でも「産業財産権」と呼ばれています。
今回は、この産業財産権のうち、代表的なふたつの制度「商標権」「特許権」の違いについてご説明します。
「商標権」「特許権」の違いとは
産業財産権の中でも、商標権は事業で取り扱う商品やサービスの、目で見ることのできる、あるいは五感で感じることのできる、他と区別するための「目印」を保護します。
【特許権】…物や方法の「発明」を保護する制度
対して特許権は、目で見ることのできない、自然法則による技術思想の創作を保護する制度です。
今ある技術や物に、改良を加えたり工夫を盛り込んだ新たな着想(アイディア)と、それを具現化したものが登録できます。ただし、登録するためには厳しい登録要件があります。
① 産業上利用できる発明である
② 新規性や進歩性がある
③ 物や「方法」の発明である(実用新案は「物の構造のアイディア」のみ保護)
④ 自然法則を利用した技術的な思想の創作のうち、「高度なものである」
特許権や意匠権と、商標権が登録を認められる『要件の差』
この実用新案をのぞく3つの産業財産権は、出願後、特許庁で審査を受けることになります。
従来の技術から容易に思いつくことのできないような新規性・進歩性が審査で問われるのが「特許」、美観を起こさせるデザインの創作性が審査で問われるのが「意匠」です。
しかし商標登録では、事業で取り扱う商品やサービス(役務)を、他の人のものと区別するために使われる「目印」になるものであれば、新規性、進歩性、創作性などは問われません。
日本の商標登録は、最も早く出願した人に商標権が生じる、「登録主義」を採用しています。
これまでいくら長年使われてきた商品名であっても、また、いくら斬新な創作性のあるデザインが盛り込まれたロゴマークであっても、「先に特許庁に商標を登録した人」に、商品・サービスの識別標識となる、独占排他的権利が発生します。
そのため、事業で使用するブランドやネーミングのアイディアを思いついたら、はやめに商標登録出願しておくことが、大切な知的財産「商標」を侵害から保護するうえで大切になるのです。
商標登録や特許登録は、知的財産権のプロ・弁理士にお任せください!
商標登録出願、特許登録出願では、まず定められた様式に則り作成した出願書類を、特許庁に提出します。
その後、特許庁による審査を経て、はじめて権利が発生します。
専門家の在籍する学術機関や大企業でなければ、その煩雑な作業の負担は、とても大きいものです。
そうした手続きのなかで発生する、これまでに類似した商標が登録されていないか確認する事前調査や、適切な書類を作成するための複雑で面倒な作業を代行するのが、知的財産権の専門家、弁理士の仕事です。
私たち海特許事務所は、中小企業の方、個人の方をメインに、知的財産権に関するご相談をお受けしている東京の特許事務所です。
商標登録、特許登録に関する不明な点、侵害に関するご質問、また登録代行のご依頼、お見積もりは、ぜひ弊所までお気軽にお問い合わせください。