「商品」と「役務(サービス)」の意味と違い|商標登録の区分について
更新日:2024/03/18
「商品商標」は、商品の目印になるブランド名やトレードマークです。
日本では、明治17年の商標条例交付以来、長年にわたって、商標といえばこの商品商標を指していました。
一方「役務商標」は、平成4年の商標法改正で加わった、比較的新しい商標です。
「役務(えきむ)」とは聞き慣れない言葉ですが、銀行やレストラン、運送業など、サービス業で取り扱う、「サービス」を表しています。
ここでは2つの商標の意味と、役割の違いについてご説明します。
商品商標・役務商標で分かれている理由は?
長年使われてきた「商品商標」では、手で触れたり、目で見たりできる、洋服や機械、玩具など形のある「商品」に限り、商標を保護してきました。
しかし、経済の発展とともに急速に成長してきた、ホテルや学習塾、通信業、広告業など、形にできないサービス業の目印となるトレードマークに関しては、この「商品」のなかに含まれず、保護する法律がありませんでした。
そこで、平成4年4月1日の商標法改正により、目で見ることのできないサービスで使われているマーク(サービスマーク)を保護する「役務商標」が登場し、商標登録できるようになったのです。
「商品商標」「役務商標」の区分とは
とはいえ、化粧品のネーミングとして登録された商標が、別ジャンルの商品やサービス、たとえば他社の発売している玩具や、銀行のサービス名に使われていても、無制限にその効力がおよぶわけではありません。
「商標権」は、目印となる標章(文字やマーク)と、商品またはサービスが一体となり、効力を発揮します。
商標登録出願した標章が、どんな商品、サービスを指しているか分類しているのが、特許庁の定める、45種類の「区分」です。
商標を登録するときは、その標章とセットになる商品、サービスを、この「区分」の中からどの「区分」に含まれるかを選び、「指定商品」または「指定役務」として具体的に願書に記載する必要があります。
商品、役務(サービス)で、商標登録が認められないケース
商標は、自分の商品や役務(サービス)と、他人の商品や役務を区別するために用います。
そのため特許庁では、類似する商品・サービスをグループ化した「類似商品・役務審査基準」に基づき、同一、または類似した商標が登録されないようにチェックしています。
さきほどの願書に記載した、指定商品・役務で記載したグループで、他人が先に登録した商標と同一、または似ていると判断されたものは、登録が認められません。
ほかにも、一般的に使われている名称(「宿泊施設の提供」の役務区分で「観光ホテル」と登録するなど)や、「田中」「鈴木」などありふれた苗字などは、自分とほかの商品・サービスと識別する力がないとされ、商標として認められません。
しかし、単純な文字ではなく、ほかのマークと十分識別がつくようにデザイン化されたロゴマークなど「極めて特殊な態様」であれば、登録を認められるケースもあります。
商標は、出願してから登録されるまで、厳しい審査を受けることになります。
これから商標として登録しようとしているネーミングが、商品や役務として認められるか、また登録すべき区分がわからないときは、知的財産権のプロ、弁理士までご相談ください。