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意匠出願コラム

システムデザインとは?組み合わせの創作性を保護する組物の意匠登録について

2つ以上の物品を組み合わせて使用するものについて、全体の統一感を表したデザインのことをシステムデザインといいます。システムデザインの主な例としては、ダイニングテーブルとイス、オーディオ機器とスピーカーなどが挙げられます。

意匠法上、2つ以上の物品をセットで使用するものは「組物」と呼ばれます。従来、組物はセットを構成する個々の物品について意匠権の登録要件を満たしている必要がありました。しかし、平成10年の意匠法改正により組物全体としての意匠登録が可能になっています。

組物の意匠の登録要件とは

通常の意匠の登録要件と同様、組物の意匠も以下の要件に該当することが登録要件となっています。ただし、組物全体として要件にあてはまることが条件となっていることに留意しておきましょう。

・工業上利用可能であること
・新規性があること
・創作が容易でないこと
・先に出願されている意匠の一部と同一または類似しているものは保護されないこと
・最も早く出願されていること
・関連意匠

また、組物の構成が以下にあてはまるかどうかも、組物の意匠が設定登録される上で重要な要素となります。

・形状、模様、色彩が同じような造形処理をされている
・構成部品がひとつのまとまった形状、模様を表している
・形状、模様、色彩などが物語性を持っている

ただし、組物を構成する一部の物品の意匠について、公序良俗に違反する場合や、他人が業務で使用する物品と混同するおそれのある場合は、その組物全体がそれらに該当するとみなされることに注意が必要です。

組物の意匠としての登録出願が認められない場合

以上の要件を欠くものは組物の意匠登録出願が認められず、複数の意匠の集合体として扱われます。この場合は、意匠法10条の2で定められている意匠登録出願の分割に関する規定に従い、物品を個別に意匠登録することが可能です。無事に設定登録が完了すれば、当該出願は組物の意匠出願時にしたものとみなされます。

また、組物の構成要素に部分意匠を含んでいる場合は、「組物全体として統一感のある美感の保護」という組物の意匠の趣旨と矛盾します。したがって、組物の一部に部分意匠が含まれている場合は、組物の意匠として登録出願することができません。

組物の意匠として登録出願できるのは、意匠法施行規則別表第二に定められている56品目のみです。出願できる数は限られていますが、自社製品のシステムデザインを守るためにもこの制度を活用する必要があるでしょう。

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