「部分意匠」って?偽ブランドから独創性のあるデザインを守る制度について
しかし、平成10年の意匠法改正で意匠の定義に「物品の部分を含む」と明記されたことにより、製品を構成する「部分」についても保護されるようになっています。
部分意匠の登録要件とは
①工業上利用が可能であること
通常の意匠登録のように、物品自体の形態であること、視覚に訴え美感を起こさせるものであることなどが求められます。それに加え、意匠登録を受けようとする部分が物品の一定の範囲を占めており他の意匠との対比対象となりうる部分であることが必要です。
②意匠登録を受けようとする部分が具体的なものであること
・意匠登録を受けたい部分の特定方法や具体的な用途・機能が明らかでない、部分や部分全体の形態が表されていないなどの場合は設定登録を受けられません。
③新規性
公知の意匠の中にある「部分」と意匠登録を受けようとする「部分」とが類似している場合は登録が認められないことになっています。
④創作非容易性
創作することが容易でないかどうかは、以下の2点で判断されます。
・意匠登録を受けようとする部分が、出願以前より公知であった形状・模様・色彩などに基づき申請人で創作できるものであったか。
・意匠登録を受けようとする部分が、位置や大きさ・範囲から申請人にとってありふれた手法による創作であったか。
⑤先願意匠と同一または類似したものでないこと
意匠登録を受けようとする部分が、先願意匠と同一または類似しているものかどうかは、以下の2点で判断されます。
・先願された意匠が全体意匠か部分意匠か。
・先願の意匠の中に後願の部分意匠の一部が開示されている場合、先願の意匠の一部と後願の意匠登録を受けようとする部分が同一もしくは類似しているか。
部分意匠登録出願する時の手順とは
また、出願の際には図面を提出しなければなりませんが、意匠登録を受けたい部分については実線で、その他欠かすことのできない機能を備えた部分については破線で描きます。意匠登録を受けたい部分が物品全体の中でどのようにデザインされているか、物品全体の概要を示すことが必要です。
製品の一部だけでも意匠登録を受けられるようになったことで、そのデザインを独占的に使用できることになり、当該部分意匠を含む製品自体の競争力強化にもつながります。多様なデザインが次々と生み出されて競争が激化する中で、部分意匠が認められたことは大きいと言えるでしょう。