意匠権の『早期審査制度』とは?|意匠登録審査の流れ
意匠権を与えられた意匠権者には、登録されたデザインの製品を製造、販売、輸入を独占的に行い、また他者が意匠権者に無断で、そのデザインと同一、または類似した製品を製造、販売、輸入することを禁止する、独占排他的な強い権利が与えられます。
それだけに、その登録までには特許庁の審査官による厳格で慎重な審査が行われます。意匠登録出願から登録されるまでの期間には、通常半年以上、およそ7~8ヶ月の時間が必要です。
しかし、意匠出願をしただけでは、意匠権は発生しません。もし、新商品として売り出す予定の意匠(デザイン)を出願中に、他者が酷似したデザインで商品の販売を開始しても、意匠権に基づいて損害賠償を請求したり、商品の販売を差し止めることはできません。
こうしたケースで、意匠の早期保護のニーズに応えるため、昭和62年から導入された制度が、登録前の意匠の権利化を早める『早期審査制度』です。
早期審査を受けるために必要なことは?
上記の例のように、すでにコピー商品が出回っているような、審査に時間をかけることで出願者に不都合なことが起きる権利化についての緊急性が認められる場合。
早期審査制度を利用して認められると、通常は半年以上かかる審査時間を、数ヶ月まで短縮することができます。
早期審査制度を利用して認められると、通常は半年以上かかる審査時間を、数ヶ月まで短縮することができます。
この早期審査で「緊急性がある」として認められるケースには、以下のものが挙げられます。
①出願中の意匠(デザイン)と同一、または類似する意匠を、第三者が使用していたり、または実施するための準備作業を進めていることが明らかな場合
②出願している意匠の実施について、第三者から警告を受けた場合
③出願意匠の実施許諾(ライセンス)を、第三者から求められている場合
また、出願意匠について、日本の特許庁以外の機関にも出願する(国際意匠登録出願含む)「外国関連出願」の要件を満たしている場合も、早期審査制度が利用できます。
早期審査制度の手続きは?
早期審査制度を利用するための手数料は無料です。
上記の緊急性や外国関連出願の、早期審査を受けるために必要な一定の条件を満たしていることを説明する「早期審査に関する事情説明書」を特許庁に提出し認められれば、早期に審査してもらうことができます。
この意匠登録出願の、早期審査に関する事情説明書の書式サンプルや、制度の詳細については、特許庁ウェブサイトに掲載されている下記のpdfから確認できます。